スポーツ

目次

トップアスリートのパフォーマンス向上や審判の判定精度向上に活用されるアイトラッキング技術。従来は感覚や経験で語られがちだった”見る力”をアイトラッカーで可視化することで、選手の視線の動きや状況判断の特徴が明確になります。

こちらでは、アイトラッカーで何が分かり、スポーツ現場のどのような課題解決につながるのかを具体的に解説します。

スポーツにおけるアイトラッカー活用で分かること

トップアスリートの空間把握と予測のメカニズム

スポーツにおいて、目の前にある情報を正確に捉えるだけでなく、次に起こる動きを予測する能力は非常に重要。アイトラッカーを活用すると、選手が競技中に「どこを見ているのか」「どの対象にどれくらい注目しているのか」「視線をどのような順序で移動させているのか」を時系列で分析できるようになります。

トップアスリートと初心者のデータを比較すれば、視線の移動回数や停留時間、注目する場所にどのような違いがあるのかを明確に把握できる可能性が高くなります。実際のスポーツ科学分野における視線研究でも、熟練者は必要な情報を効率的に取り込む優れた視覚探索戦略を持っていることが明らかになっています。こうしたデータをもとに、選手が周囲の状況をどう把握し、次のプレーを予測しているのかを論理的に考察する手掛かりになります。

参照元:【PDF】加藤貴昭「知覚-運動スキルから見るスポーツの熟練パフォーマンス」(KEIO SFC JOURNAL Vol.14)(file:///C:/Users/fumiko.kanda/Downloads/0402-1402-0042.pdf)

プレッシャー下でのQuiet Eye(静止視)を分析

強いプレッシャーがかかる場面では、普段と同じように的確な判断・動作ができるとは限りません。そこで注目を集めているのが「Quiet Eye(クワイエットアイ)」と呼ばれる視線行動です。

これは、ゴルフのパッティングやバスケットボールのフリースローなど、動作を開始する直前に目標付近へ視線を安定して向ける現象のこと。アイトラッカーを使えば、この最終的な注視が「いつ始まり、どのくらい続いたのか」を定量的に測定できます。Quiet Eyeの時間が長いほどパフォーマンスが安定しやすい傾向にあるため、試合や練習時の視線データを比較し、プレッシャーによって視線がどう変化するのか、また安定した結果を生み出す視線行動にはどのような特徴があるのかを探ることが可能となります。

運動中の頭部・眼球の連動

競技中の視線は、眼球だけが単独で動いているわけではありません。頭部や身体の動きと連動しながら、必要な情報を捉えています。ウェアラブル型アイトラッカーにモーションキャプチャなどを組み合わせることで、眼球・頭部・身体の動きを同時にトラッキングし、相互関係を分析することも可能です。

例えば野球の打撃研究では、ボールの速度に応じて眼球運動と頭部運動の使い分けが変化し、さらに視線・頭部の動きがスイング動作とも連動することが確認されています。また、卓球でも視線、頭部、腕の動きに時間的な協調関係がみられるという報告も。こうした分析から、本人やコーチが映像だけでは気づきにくい「無意識の視線の癖」や視線と身体動作の連動メカニズムを可視化できます。

参考・出典論文

  • 【野球における眼球・頭部運動の研究】
    著者:Higuchi T, Nagami T, Nakata H, Kanosue K.
    論文名:Head-eye movement of collegiate baseball batters during fastball hitting(PLOS ONE / 2018年)
    URL:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0200443
  • 【卓球における視覚・運動戦略の協調に関する研究】
    著者:Ripoll, H., & Fleurance, P.
    論文名:Uncertainty and visual strategies in table tennis(Perceptual and Motor Skills / 1989年)
    URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2717357/
  • 【卓球ラリー中の眼球と頭部の視覚戦略に関する研究】
    論文名:Visual Strategies for Eye and Head Movements During Table Tennis Rallies(Frontiers in Sports and Active Living / 2022年)
    URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35655529/

アイトラッカーで解決できるスポーツの課題

経験や感覚を見える化し、効率的なスキル習得へ

スポーツの指導現場では、「もっと周りを見ろ」「ボールだけを追うな」といった感覚的なアドバイスが多くなりがちです。アイトラッカーを導入すれば、選手が実際にどこを見ているのか、どの対象をどのタイミングで注視しているのかを客観的なデータとして提示できます。

さらに、熟練者と自身の視線の動きを比較映像などで確認することで、これまで感覚的にしか捉えられなかった視覚情報の取り方を具体的にイメージしやすくなるのが大きなメリット。視線の位置や停留時間、視線の移動パターンなどを具体的な指標としてフィードバックし、選手自身が課題を論理的に理解することで、効率的なスキル習得につながります。

どこを見て判断したかを分析し、状況判断の精度を向上

一瞬の状況判断がプレーの成否を左右するスポーツの世界。アイトラッカーを使うことで、選手が判断を下す直前に「どこを見て、どの情報を捉えていたのか」を視線データから詳細に分析できます。

相手選手の動き、味方選手の位置、ボールの軌道など、プレーに不可欠な情報へ適切なタイミングで視線を向けられていたかを確認する材料となります。判断を誤った場面についても、視線の軌跡や注視時間を振り返ることで、「必要な情報を見ていなかった」「見るべき場所への視線移動が遅れていた」といった具体的な原因を特定し、次のトレーニングに活かすことができるでしょう。

審判の視線を可視化し、判定トレーニングの精度を高める

審判員は、限られた時間の中で複数の選手やプレーを同時に確認し、正確な判断を下す必要があります。アイトラッカーを活用すれば、判定の瞬間に審判員がどこを見ていたのかを記録し、実際の判定結果と照らし合わせた分析が可能に。

ファウル発生時の接触部位や選手の身体の動きなど、正しい判定に欠かせない情報を適切なタイミングで捉えられていたかを確認できます。さらに、熟練審判の視線データをトレーニング教材として活用することで、経験の浅い審判員が「どこを、どのタイミングで見るべきか」を具体的に学べる環境構築にも役立ちます。

スポーツ用アイトラッカーの選び方

激しい動きでもズレにくい軽量・ウェアラブル型

スポーツ用アイトラッカーを選ぶ際、プレーヤーの自然なパフォーマンスを妨げない装着性がもっとも重要です。ジャンプやダッシュ、急な方向転換など、激しい動きを伴う競技でもズレにくく、視界を遮らない設計であることが求められます。特に、軽量なメガネ型のモデルであれば、装着時の身体的な負担を抑えつつ、普段に近い自然な状態で視線を計測できるのが利点です。

高速な視線移動を捉える高サンプリングレート

スポーツでは、高速で動くボールや相手選手のフェイントに合わせて視線が瞬時に移動するため、細かな視線変化を正確に記録できるスペックが必要です。

ボールの軌跡や一瞬の判断を分析するには、1秒間に視線を記録する回数が高いモデルが適しています。一般的に、スポーツの激しい動きを分析する場合は、少なくとも60Hz以上、できれば120Hz〜といった高サンプリングレートに対応したアイトラッカーを選択すると、より精緻なデータ取得が可能になるでしょう。

屋外でも安定して使える耐環境性とワイヤレス通信

屋外競技でアイトラッカーを使用する場合、太陽光などの外部環境に左右されにくい計測性能を備えているかがポイント。多くのアイトラッカーは赤外線を利用して眼球の動きを読み取るため、強い日差し(自然界の赤外線)の影響を受けにくい屋外対応モデルを選ぶことが安定した計測の鍵となります。

また、グラウンドやコートを自由に動き回るスポーツでは、ケーブルによって動きが制限されないことも重要です。Wi-Fiなどを利用したワイヤレス通信や本体内にデータを保存できるSDカード録画などに対応しているかどうかも、事前にしっかりと確認しておきたい項目です。

まとめ

アイトラッカーでスポーツの「見る・判断する・動く」を可視化

アイトラッカーは、スポーツ中の視線を可視化することで、トップアスリートの空間把握や予測、プレッシャー下におけるQuiet Eyeの安定性、頭部・眼球の連動メカニズムなどを客観的なデータとして浮き彫りにする画期的なツール。これまで感覚的にしか捉えられなかった動きを数値化し、経験や勘に頼らない科学的なコーチングの実現、選手の状況判断力の向上、さらには審判員の判定トレーニングの高度化にも貢献します。

実際の現場へ導入する際は、激しい動きでもズレにくい軽量性や高速な視線移動を的確に捉えるサンプリングレートの高さを比較することが大切です。加えて、屋外の強い太陽光にも対応できる耐環境性、選手のパフォーマンスを制限しないワイヤレス通信機能なども、忘れずにチェックしておきたい項目です。

当サイトでは、用途別の具体的な活用方法や各製品の特徴、導入時のポイントを詳しく紹介しています。自社の環境や競技特性にぴったりのアイトラッカーを探す際の参考に、ぜひお役立てください。

要望にマッチする
アイトラッカーを探す

【目的別】アイトラッカーおすすめ3選

ここでは、アイトラッカーの導入を検討している方向けに技術者による導入サポートとデモの開催や対応をしているアイトラッカーを目的別にご紹介しています。目的と用途に合わせて装置をピックアップしていますので、ぜひ製品選びの参考にしてください。

運転時や現場点検の
視線行動を計測したい

3選のイメージ1-2
  • 熟練技術者の視野を技能伝承に活かしたい
  • 屋内・屋外での自由な動きを計測したい
  • 難しい設定をしないで自社に合うものを導入したい
おすすめのアイトラッカー
自由に動きながら計測できる
装着型アイトラッカー
EMR-10
EMR-10
引用元:ナックイメージテクノロジー公式HP(https://www.eyemark.jp/reason/)
  • 使いやすさに特化した設計。タブレットPCですぐに接続・利用が可能
  • 自社の目的に合わせてカスタマイズや特注対応が可能
主な用途
技能伝承
運転
スポーツ
人間工学
心理学
       
レンタル可否〇
※1週間単位

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対象物1点の細かい
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3選のイメージ2-2
  • 心理学など、学術的な研究に使用したい
  • 高い精度の視線計測を求めている
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おすすめのアイトラッカー
人をより深く知るための
ハイスペックアイトラッカー
Tobii Pro スペクトラム
Tobii Pro スペクトラム
引用元:tobii公式HP(https://www.tobii.com/ja/products)
  • 最大1200Hzのサンプリングレートで高速な眼球運動のメカニズムも研究可能
  • アイトラッキング世界シェア No.1
主な用途
学術研究
マイクロサッカード
人間工学
心理学
       
レンタル可否〇
要問合せ

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3選のイメージ3-2
  • VR空間内での没入感を高めたい
  • ユーザーの注視点だけでなく感情も可視化したい
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おすすめのアイトラッカー
VR世界の脳活動を計測する
HMD型アイトラッカー
NeU-VR
NeU-VR
引用元:FoVE公式HP(https://fove-inc.com/product/)
  • ヘッドマウントディスプレイVR視聴中の脳活動・心拍および視線情報をリアルタイム計測
  • 立ち上げ段階から企画・開発を支援
主な用途
マーケティング
VR
空間評価
       
レンタル可否〇
※月単位

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※2023年8月1日調査 googleで「アイトラッカー」で検索して表示された、アイトラッカー取り扱い企業の上位17社の中から、技術者による導入サポートとデモの開催または対応を行っている企業をピックアップし、以下の特徴で選出。
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